建築士による住宅診断
建物は年数が経過するにつれてどうしても劣化してしまいます。
劣化を放置していると建物に重大な被害を与えかねません。
劣化といっても単純に「経年劣化」によるものや、
建築中に発生した「施工不良」によるものなど状況によっていろいろな要因が考えられます。
では、どのような場所が劣化しやすいかというと、
1、バルコニー
2、バルコニーの手すり壁と外壁の取り合い部
3、洗面所や浴室の床下
4、屋根
5、外壁
6、外部のシーリング(コーキング)
などが挙げられます。
他にもいろいろ想定される場所はありますが、ここでは上記の6項目で考えられる被害を少しお話します。
1、バルコニー
バルコニーでよくある事例では、防水の施工不良や防水が切れたことによる被害です。
施工不良では、壁面との取り合い部分の立ち上がりが確保されていない場合や、
排水ドレン取付部の措置が不十分な場合などです。
防水が切れたことによる漏水は、経年劣化によるものや、硬い物などを落としてしまったことで防水層を傷付け、
そのまま気づかず放置してしまって漏水につながってしまう場合などがあります。
どちらの場合も補修せずに放置してしまうと、バルコニーの床下が腐食してしまったり、
漏水によりシロアリ被害に発展したりします。
また、外壁内部の断熱材にも侵入し、断熱効果が失われる恐れがあります。
2、バルコニーの手すり壁と外壁の取り合い部
取り合い部の止水処理が不十分な場合や、経年劣化により漏水してしまうことがあります。
被害状況としては、バルコニー部と同等の被害を受ける可能性があります。
3、洗面所や浴室の床下
洗面所や浴室の床下は意外と気が付きにくい劣化部分です。
床にこぼれた水などがドア枠と床の取り合いのすき間から床下に侵入し、
木部にシミができることがあります。床下の湿度が高い場所では、
上から染みてきた水がきっかけとなり、カビやシロアリの被害を受けることがあります。
体についていた水滴が落ちて床下に侵入したりと、
少量の水でも継続的に長年染み続けたら上記のような被害に発展する可能性があります。
水滴が落ちたり、水など床にこぼしてしまったらすぐに拭き取るなど注意する必要があります。
4、屋根
屋根の劣化は塗装のはがれが多く、見た目の問題の場合が多いようです。
メーカーによってさまざまですが、美観の保証を10年間、
基材の腐食による穴あきや亀裂が発生しない保証を30年しているメーカーや、
30年相当の耐候性を持たせたものを開発しているメーカーもあります。
その他、スレートのずれや割れなど起こる場合がありますので定期的に点検をするとよいでしょう。
5、外壁
「サイディングは劣化しない」と思われている方もいらっしゃるようですが、
塗膜(サイディング表面の塗装)やシーリング材は永久的なものではありません。
屋根同様にメーカー等によって多少違いがありますが、
竣工して5〜10年内に再塗装やシーリングの打ち替えなどをしなければなりません。
維持管理を怠ると劣化が進み、防水性が失われた表面などから水分が内部に浸透し、
基材が変形や割れを起こしたりします。
また、冬季に凍結融解を繰り返すことにより基材が崩壊してしまうことがあります。
適切な時期の点検と早めのメンテナンスを行う必要があります。
6、外部のシーリング(コーキング)
外壁の項目でもお伝えしたように、シーリング材は永久的なものではありません。
シーリング目地に剥離やひび割れなどが発生しているとそこから水分が浸透し、
外壁内部の木の腐食につながります。
また、断熱材にも浸透し、断熱効果が失われる原因となります。
住宅の劣化には上記に挙げた以外でも衛生設備や木部・鉄部の塗装など多数あります。
まずは気になるところをご自身でチェックし、
不安な点がございましたらお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。